お店の黒板にチョークアートを描いてみたい!そう思われる方も多いと思います。黒板を使ったプロモーションは飲食店に限らずメッセージをお客様に届けるツールとしてよく使われるようになりました。今日はチョークアートを描いてみたいという方のために、それぞれの画材を使用して時間をかけずに描いたサンプルと共に黒板・画材の特徴をまとめてみましたので、タッチや発色の違いをご覧ください。この記事が少しでも皆さんのお役に立てれば嬉しいです。
さて、油絵や水彩、パステル画などと同様に、一口にチョークアートといっても様々な描き方があります。画材にも幅がありますし、描く人によって手順が異なります。私はお客様ご自身で描かれる場合、以下のことをお伝えしています。今回は、一般的に手に入る画材でお店のメッセージボードを描く場合を想定してお伝えします。
チョーク × 一般的な黒板 × 描き消し可
チョークは、文具店で白、それ以外の赤(ピンク)、緑、ブルー、茶色、などのカラーセットを手に入れることができます。チョークは容易に描き消しができるよう細かな粒子で固められ作られています。しかし、その粉っぽさが故に、一定期間保存するために描く文字やイラストの場合、粉が飛んで描きにくく、ベタ塗には向かないため、想像していたよりも扱いにくく、難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。
先が丸いと思った場所に描けないこともあるため、特に文字を描くときは、チョークの先をカッターナイフで削って、常に細くして描くようにしてください。メッセージボードとして文字とイラストをチョークで描く場合は、レタリングに力をいれて、イラストはポイント的にレイアウトし、塗りつぶすのではなく、線のみで表現したほうがきれいに仕上がります。線だけでは存在感が薄い時は、チョークの側面を使用して軽くスライドして薄づきにし、それを指の腹で伸ばしてください。また、チョークは水を湿らせて描くと描いた文字が消えにくくなります。
お店のおすすめボードとして使用する場合、粉が飛んだり、近くを通ったときにお客様の洋服についたりする可能性があるため、特に飲食店では飾る場所には配慮する必要があります。近年は、粉っぽさがなく粘性のあるダストレスチョークも発売されています。
ポスカ × マーカー用黒板 × 描き消し可
市販黒板には、チョークで描けるタイプとマーカーで描くタイプと種類があります。一般的に、チョークで描くものは表面がマット(ツヤなし)で、マーカーの場合はグロス(ツヤあり)です。ポスカなどの水性マーカーを使用するときはツヤ有りを使用してください。チョーク用の黒板に描いた場合、完全に消せないことがあります。
ポスカは単色で購入することも可能ですが、12色セットなどもあり、細いものから太いものまでバリエーションが豊富です。マーカーでそのまま文字やイラストを描く方法が一般的ですが、私がイギリスで見たチョークアート上級者は、マーカーのインクを出して(ペン先を押しながらインクを出す)絵の具のように色を混ぜて筆で描いていました。これは慣れないと難しいかもしれませんが、薄づきになるため、重ね塗りが可能で、水彩などを描かれる人には向いている描き方だと思います。また、ポスカなので発色も色の混ざりも良く、水で簡単に消すことができます。
ドライパステル × 一般的な黒板 × 描き消し可
ドライパステルとは、いわゆる一般的にソフトパステルと呼ばれるもので、これらは画材屋で購入することができます。パステルを使用すると、チョークに比べて、色のバリエーション、色の発色が格段と上がります。ただし、顔料が入っていることから、定着がよく、黒板によってはチョークで描いて消した時のように完全に落とすことは出来ない場合がありますのでご注意ください。よって、描く時は慎重に、チョークで下描きなどをしてから描くことをお勧めします。仕上がりは優しい風合いになります。
描いた後で表面に軽くフィキサチーフ(定着剤)をスプレーすると定着が良くなりますが、長期間保存できるものではなく、手で触ると落ちるので、人の手の届かないような高い位置のメニューボードやアートとして飾ることをお勧めします。
※ハードパステルは向いていません。また、海外で販売されているチョークパステルもこれらの部類には入りますが、アーティスト用のソフトパステルとチョークパステルでは使用されている顔料の質が異なります。
オイルパステル × 専用黒板 × 描き消し不可
主にチョークアートのプロが使用する画材で、基本的には描き消しができません。発色、定着は非常に良く、重ね塗りや色を混ぜることもできるため、モチーフのリアルな表現が可能です。背景の黒とのコントラストが強く出るため立体感を増します。通常、ボードは専用の黒板を使用しています。専用の黒板は、表面に均一の細かな凹凸があり、オイルパステルの定着を良くしています。描き終えたら、ラッカースプレーなどの強度の高いスプレーをかけ加工します。雨にぬれても、手で触れても消えないイラストやレタリングは、お店の看板として使用することが出来ます。
オイルパステルを使用した際の描き方のポイントは、下書きを念入りにおこなうこと、また、明るい色から塗り始めて少しずつ陰の色をプラスしてゆきます。明度が落ちると背景が黒の為、視認性が悪くなるからです。
絵を描いたことがある方で、チョークアートを描いてみたいという方は、こちらの解説書付き教材をご覧ください。初心者の方で趣味として描いてみたい方には、描き方の解説付きDVDの入ったセットをおすすめしていますのでご覧ください。
チョークアートを描くときは、目的と画材の特徴を理解して材料を購入すると無駄がなく、満足のいく仕上がりになります。今回は、主に一般的に手に入る材料を使用して描く方法をお伝えしました。街角にある黒板を見かけたら、是非何で描いているのか見てみてください。
アーティチョークでは、これら画材のほかに水性のパステルや消えないマーカー、粘性のあるタイプのチョークなども使用しています。使用する黒板と用途・目的に応じて、画材を使い分けています。チョークアートは、概念にこだわらない多様性のあるアートです。
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